眼瞼(がんけん)けいれん
眼瞼けいれんの症状例
眼瞼けいれんとはどんな病気?

自分の意志に関係なく、両目の周りの筋肉がけいれんする病気です。
なんらかの原因で神経が障害され、脳から正しい指令が伝わらず、目のまわりの筋肉がけいれんを起こす病気を「眼瞼けいれん」といいます。
眼瞼けいれんでは、まばたきがうまく出来ず、まぶたを閉じている方が楽になります。初期症状はドライアイと似ていますが、眼瞼けいれんでは、症状がゆっくりと進行していきます。
眼瞼けいれんは原因によって以下の3つに分けられます。
- 本態性眼瞼けいれん(原因不明)
- 症候性眼瞼けいれん(パーキンソン病などによる)
- 薬剤性眼瞼けいれん(抗うつ薬などの内服薬による)
眼瞼けいれんは、放っておいて自然に治る病気ではありません。
症状が進行すると、けいれんの回数が増し、まぶたが開かなくなったり、目が見えなくなる事もあります。
眼瞼けいれんはどのような人に多いの?
とくに中高年(50~70歳代)に多くみられます。
性別でみると、眼瞼けいれんの患者さんの約7割が女性です。

眼瞼けいれんの検査方法
診察
医師の指示に従い、何通りかのまばたきをしてもらうと診断がつきます。
眼瞼けいれんの治療方法
ボツリヌス療法(ボトックス注射)
ボツリヌス治療では、ボツリヌス菌が作り出すA型ボツリヌストキシン(天然のタンパク質)を有効成分とするお薬を、筋肉に注射する事によって、けいれん等の原因となっている神経の働きを抑え、筋肉の緊張をやわらげ、症状を改善します。
ボツリヌス治療によって、約80%の患者さんで症状の改善が得られるとされています。(井上眼科調べ)
治療の効果には個人差がありますので、1回の注射で症状が改善してしまう方もいれば、定期的に再投与を必要とされる方もいます。定期的に診断を受け、医師と相談しながら治療を継続しましょう。
ボツリヌス療法の副作用
注射後の副作用の多くは一時的なものなので、お薬の効果の消失とともに消失しますが、これらの症状がみられたら、医師にご相談ください。
- 目の周囲に皮下出血がでた
- まぶたが閉じにくくなった
- 目が乾いたように感じる
- まぶたが下がった
- 物が二重にみえる
ボツリヌス療法の効果
- 効果は2,3日~2週間で現れます。
- 効果は通常3~4ヶ月間持続します。
- その後、時間が経つにつれて徐々に効果は消失してきます。
(効果や持続性には個人差があります。) - お薬を再投与することにより、同様の効果が現れます。
- 約8割の患者さんで症状の改善が得られるとされています。
- ごく稀に、治療を続けていくうちに体内で抗体が作られ、効果が減弱することがあります。
- 副作用の多くは一時的な物です、お薬の効果が消失するとともに、消失していきます。
その他の治療法
筋弛緩薬、抗てんかん薬、抗不安薬などの内服薬などによる治療や、手術が行なわれることがあります。
眼瞼けいれんに似ている病気
眼瞼けいれんと似ている症状を示す病気はいくつかあります。
片側顔面けいれん
片側の顔の筋肉がピクピクと痙攣したり、引きつったりするという症状がみられます。脳の深部で顔面神経に血管が接触して圧迫することが原因で起こります。
眼瞼ミオキミア
疲れや睡眠不足などがきっかけで、左右片側の上または下まぶたの筋肉の表面がピクピクしますが、やがて症状は消えます。
ドライアイ
まぶしい、目が乾くなどの自覚症状が眼瞼けいれんと一見似ています。しかし、眼瞼けいれんはドライアイの治療では治りません。
開瞼失行症
いったん閉じたまぶたを開くのが困難になる症状がみられます。眼瞼けいれんと合併する事が多い病気です。
チック
片側顔面けいれんと同じようなまばたきや顔しかめなどの症状が出ますが、自分の意志でコントロールでき、けいれんの場所が移動するのが特徴です。
これらの病気は、それぞれ治療方法が異なります。顔の運動異常の症状が現れたら、自分で判断せずに、まずは眼科や神経内科、脳神経外科など専門医を受診しましょう。